デルの人生探究日記

ちょっと気持ちが軽くなって、へー、これやってみようかな、というヒントが見つかるかもしれないブログ

「あのこは貴族」 婚活や結婚生活でモヤモヤしている人に

ジェーン・スーさんの
「私がオバさんになったよ」で


著者の山内マリコさんと対談されていて、
こちらの本の話題がよく出ていて気になったので手に取った。

あのこは貴族 (集英社文庫)

あのこは貴族 (集英社文庫)

 

 
慶応幼稚舎から大学に進学し、
一般企業に就職した「華子」が、
結婚を焦るがゆえに恋人に振られ、
婚活に勤しむもうまくいかず、
突然現れた、
地元の名士の家系で、
将来は政治家への道がほぼ約束されている
表向きには「超優良物件」の男性幸一郎と結婚する、という
一見幸せな物語。
 
しかしその裏には
恋人ではないが長年都合のいい存在の女性(美紀)が。
 
美紀は地方から大学受験して慶応に入学し、
東京と地方、上流階級と中流階級など、
日常のあらゆる場面で「壁」を目にし、
その階層のトップともいえるところにいる幸一郎と
都合の良い関係を続けることで、
違う世界とつながる感覚を楽しんでいた。
 
ドロドロした恋愛ものでは決してなく、
「東京」「地方」
「上流」「中流
「男性」「女性」
正規雇用」「非正規雇用
「会社員」「事業主」など、
気づかないうちにいくつかのグループに属し、
そのグループでの常識が「当たり前」だと思ってしまう人間の性。
 
知っている世界にいることは安全だけれども、
「選択する」自由がなくなりがちであること。
 
価値観が固まって、
異質なものを無意識に排除しがちであることなど
様々なメッセージを受け取った。
 
自分は地方出身者で、
内部生の多い女子大にいたので、
美紀について書かれたところが
一番共感できたかな。
 
女性を記号のように捉え、
本気で向き合おうとしない幸一郎も
側から見たらものすごく恵まれているけれども、
生まれた時から運命が決められていて、
そこから外れることの許されない絶望感を考えると、
悪者とも思えないし同情さえしてしまう。
絶対にその場所に行きたいとも思わないけれど。
 
最近話題になった某お笑い事務所の会見で、
「周りに嘘をつくのが本当に辛かった」
とある芸人さんが言っていたけれど、
自分の言いたいことが言えて、
やりたいことをやれることが、
人間らしく生きるためには欠かせないんだな、
と改めて思った。
 
「多様性を大切にしよう」などという
「わかった、でもどうしたら?」という
漠然としたメッセージを何百回聞くよりも、
自分と違う世界にも目を向けよう、
という気持ちになる一冊。

 
最後のタクシー運転手の
「田舎はねぇ、
どこもいいところなんだけど、
人の流れが淀んでるから。
 
人の流れが淀むと、
なんでもダメね。
 
お金も回らなくなるし、
どんどん内向きになってちっちゃいことで揉めたりね。
 
だから外から人に来てもらって、
風通しよくしなくちゃダメなんだよ」
というセリフ。
 
田舎に限らず
どのコミュニティにも言えることだなぁ、と。
 
集団に問題が発生する時は
人の流れが淀んでいる時なのかもしれないな。
 
それは集団だけでなく個人でも。
 
一つの考えに固執しすぎて
頑固になっている時とか。
 
とはいえ
説教臭さなどは一切なく、
小説として普通にと言ったら失礼だが
面白かった。
 
婚活や結婚生活でモヤモヤしている人は
特にオススメ。

 

あのこは貴族 (集英社文庫)

あのこは貴族 (集英社文庫)